『家族信託という選択』~超高齢化社会への『転ばぬ先の杖』 岡山市北区 セミナー参加報告
2016/04/27
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信託制度
こんにちは、カウルグループ『株式会社フェイス不動産コンサルティング』の野邊(ノべ)です。
先日、『家族信託』をテーマにしたセミナーに参加してきました。
『私の不動産は、息子に任せているから!!』
という表現をよく聞きますが、
息子さんは、お父さんの代理人なのでしょうが、
結局、不動産登記等の際には、本人(お父さん)の『意思確認』と『本人確認』が必要になります。
さて、途中でお父さんが『重度の認知症』を患ったらどうでしょう。
民法上、お父さんは『意思能力』を欠いた状態となります。
契約等の法律行為が無効となります。
最近、認知症で売却が進まなくなった案件をいくつか経験しています。
こういう場合に、『成年後見制度』があると思うかもしれません。
本人の代わりに裁判所が法定代理人を選任し、本人の代わりに契約等の法律行為をする制度です。
しかし、この制度は、
『原則として、財産の積極的な運用や合理的理由のない換価処分、本人の財産の減少となる行為等はできません。』
この度のセミナーでは、
『相続・事業承継における家族信託の活用』というお題で、
『家族信託』について学びました。
先ほどの、お父さんが認知症になったケースも、
『家族信託』を活用することで、有効に不動産の処分が可能になります。
家族信託とは、簡単に表現すると
お父さん(委託者)が、お父さん(受益者)の利益のために、
不動産の管理・処分等を息子さん(受託者)に任せる仕組・契約です。
1)契信託契約
委託者(=所有者:お父さん)と受託者(息子さん)との間での信託契約を締結します。
2)物権変動
お父さんの不動産が信託を登記原因として、息子さんへ移転登記がされます。
3)信託契約に従った不動産の管理・運用・処分等の実行
息子さんは、信託契約の内容を実行できます。
例えば、
相続税対策として処分する。
土地に収益マンションを建てる。
土地を担保として銀行から借財する。
お父さんの本人確認も、委任状も、印鑑証明書も不要です。
4)暴走の防止
息子さんが、お父さんのためではなく
自分のために不動産を処分しないよう『信託監督人』をつけることができます。
5)信託契約の終了
契約でお父さんが亡くなったら信託契約を終了することも、それ以降も継続させる契約も可能です。
例えば、
『相続税対策』、本人が『認知症』を患ってしまうと、
その時点で、『相続税対策不能』に陥ってしまいます。
『相続対策』を計画どおりに進める上では、
『家族信託』は、万が一を想定して活用すべき手段であると感じました。